地球の長い午後
「子供は誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」とパブロ・ピカソは言ったらしいけど、大人になった今でもユニークな発想と奇抜な言動で周囲の人に新鮮な驚きを与え続けている僕の嫁様は天才じゃないか。と時々思う。
昨日はタリーズで珈琲を注文する時に店員さんに「ビターって辛いんですよね?」と聞いて驚かせたらしい。店員さんは「いえ、苦いんです...」と苦笑いで教えてくれたらしい。
つい先日もこんなことがあった。夕陽を眺めていると、嫁様に突然こう聞かれた。
「地球が自転するのを忘れたらどうなるんだろう?」
僕は地球の自転が止まった時に与える影響について考えて
「人類は滅亡すると思う」
と答えた。世界のある国は永遠の昼となり気温が上がりすぎるだろうし、ある国には永遠の夜がやってきて全てが凍ってしまうだろう。地球全体で海流と気候が変動して人が住むのに適さない環境になるだろうと思ったから。
嫁様は少し考えて、さらにこう聞いた。
「自転を忘れたってことを誰が地球に教えてあげるの?」
なるほど、嫁様の聞きたかったことが分かった。僕は間違っていた。嫁様は人類を超越した次元で問題を捉えていた。人類の滅亡など問題ではないのだ。地球の視点で考えていたのだ。地球の持続力か何かを心配していたのだ。なんてスケールがでかいんだ。
僕は2番目の質問には答えられず、しばらく黙って夕陽を眺めていたのだった。





